東北の地に根ざしたカラーパレット
東日本大震災において壊滅的な被害を受けた、宮城県石巻市雄勝町における復興公営住宅の外装色彩計画である。海と山に囲まれた雄勝の各集落では、四季折々に移ろう自然の表情が暮らしに彩りを添えてきた。高台移転においても、自然と調和した生活環境をどのように実現するか関係者で検討を繰り返した。
全16地区で行われた本計画では最終的に100棟近い戸建て住宅の色彩計画に関わることとなった。他地区に先立って取り組んだ名振地区では、リサーチと合わせて住民とのワークショップを複数回開催した。
当初はイタリアの都市に見られるような色とりどりの町並みを望む声など様々な意見が聞かれたが、CGや実物サンプルを確認するうちに、しだいに目指す方向が定まっていった。
具体的な配色を進める前提として、「雄勝の風土に合わない鮮やかすぎる色を使わない」「単調に感じないよう適度な変化を持たせる」の2点が主な柱となった。
最終的には、地域から抽出したオリジナルのカラーパレットである、「硯鼠(すずりねず)」「牡蠣色(かきいろ)」「松皮色(まつかわいろ)」という暖色系の中低彩度である3 つのカラースキムが導かれ、展開されることとなった。その後の集落においては、名振地区での検討をベースに、各地区の立地条件や配棟計画を読み解きながら、注意深く調整を加えていった。 
雄勝では古くから玄昌石が産出され、「雄勝石」と呼ばれるこの石は、瓦状に加工され家屋の屋根や壁などいたるところに用いられてきた。公営住宅においては新建材であるサイディングが用いられることが多いが、町の中心部である伊勢畑地区では関係者の強い想いもあり、住戸の外壁に雄勝石を展開することが可能となった。
この地では訪れる人々に石の可能性を感じてもらいたいという思いを込め、ショールームならぬ「ショータウン」というコンセプトを設定した。貼る位置の「腰壁」「妻壁」という2パターンに、貼るパターンの「うろこ」「菱形」「並行」という3パターンを掛け合わせ、さらに外壁色との組み合わせによって、家並みに多様な表情が生まれることを意図した。
雄勝の自然は季節折々に表情が変化し住む者、訪れる者を飽きさせない。自然が持つダイナミックな色の移ろいと復興住宅の色に込めた想い、オリジナルのアニメーションを制作した。

2014年 – 2018年 宮城県石巻市
協働 雄勝スタジオ(日本大学 / 東京藝術大学 / 東北大学 /she)
色彩計画 | 片岡照博/株式会社コトナ
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